個人M&Aは新たな退職金投資?私の経験から見る『クローズアップ現代+』

(出典 : https://www.integroup.jp/)

今回は、サラリーマン大家さんに続く新たなビジネスとして注目の「個人M&A」についてクローズアップしたいと思います。

人生100年時代にあって、定年後の「老後」を過ごすには、年金の他に2000万円が必要と言われて大きな話題になりました。

何も手を打たなければ貧困へ落ちるという危機感から、大企業のサラリーマンの間でも、定年後の資産運用が真剣に取りざたされています。

少し前まで「流行っていた」のは不動産投資、いわゆるアパート・マンションのサラリーマン大家さんというものでした。

しかし、手の届く範囲で物件を購入しても、管理維持費や改装などに予想外にお金がかかったり、思うように満室にならない、または入居があっても店子とのトラブルや家賃の滞納があったりする、というマイナス面も知られるようになり、手軽な不労所得とは言いがたいイメージができています。

そして現在、その次に「来る」とみられているのが、「個人M&A」、つまり、中小企業を個人で買収して経営し、継続的に利益が見込まれる資産とする方法です。

個人M&Aは本当に老後の安心につながるのでしょうか。

私自身の個人的な経験も含めて見ていきたいと思います。

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個人M&Aとは?

M&Aは、簡単に言えば企業の買収・合併を意味します。

売り手企業は、事業の継続と、資金調達、果ては自社の生き残りをかけてM&Aに参入。

買い手企業は、事業規模を広げたり、新規事業に乗り出すためにあらかじめ業態を運営している会社を組織ごと吸収合併、即戦力とする。

2000年代に大手企業同士のM&Aが積極的に行われ、事業の売却と買収という方法が認知されました。

そのM&Aを、企業対企業でなく、企業対個人として行うことを「個人M&A」と呼ぶようになったようです。

最近では、ファンドマネージャーなどが著したビジネス書も目立つようになりました。

老後の投資としての個人M&A

現実問題として、日本の中小企業の多くは後継者がおらず、黒字経営であっても廃業するケースが多いといいます。

そんな中小企業の情報を取り込み、買収の案件として紹介するM&A情報サイトも増えてきました。

その結果、サラリーマンにも手の届く数百万円という金額でもいいから売却したいという企業が「市場」に現れるようになったといいます。

大企業を定年退職したサラリーマンが、退職金を充ててそうした中小企業を買収し、経営者となることで、役員報酬と営業利益を得て、第二の人生を豊かに生きる、というビジネスモデルが個人M&Aのゴールです。

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ウチにも来た!M&A仲介会社

実は私の本業はネットショップオーナーなのですが、ある日、仲介会社を名乗る人物から電話がかかってきたことがありました。

「御社の運営しているECサイトを買収したいという人がいるのですが」

買収?と最初はびっくりしましたが、まあ要はウチのサイトを買いたいということですね。

面白そうだったので、こちらにも興味がある旨を伝えて、1回目の電話は終了しました。

で、後日、もう一回電話がかかってきたのです。

そしていきなり、

「御社のサイトは月収どのくらいあるんですか?」

と来ました。なかなか単刀直入というか、聞きにくいことをズバッと聞くなあと感心しつつ、

「だいたい月収10万円くらいですかね」

と答えたところ、「は?」という感じに相手が言葉に詰まりました。

あとは何やらごにょごにょ言って、電話はすぐに切れました。

どうやら買収に値しないサイトと見られたようです。

実は私自身、このショップが鳴かず飛ばずなので、買ってくれるという人がいるなら売ることもやぶさかではないといいますか、正直、売る気満々だったのですが、相手はもっともうかるものだと思っていたようです。

しかし、よく考えてみれば、業績ほくほくのネットショップなら、手放さずに自分で儲けていればいいわけです。

それを売りたいというサイトなのですから、ほくほくに儲かる金の玉子であるわけかないのです。

いったいどれくらいの月収があったら売却案件として見てもらえたのか分かりませんが、そうそうおいしい物件は転がってませんし、買わせてもらえないでしょう。万一あったとしても、売却額がたったの数百万円ですむわけがないのです。

業績が良い案件なら、1000万円以上の買収金額が必要なのではないかと思いました。

というわけで、私のネットショップはM&Aの俎上に乗ることはありませんでした。

利益の薄い業態を売り払って、新しい別のビジネスを始めたかった私の野望はついえたのです。

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私がサラリーマンにはムリ!と思う理由

さて、それでも個人M&Aで事業を手にしたい人はいるかと思います。

中小ながらも「社長」というのは良い響きですし、資産が増えるなら老後も安心です。

しかし、私のM&A話のように、おいしい案件がごろごろしている世界ではありません。

何より私が考えるのは、大企業の管理職まで務めた人に、定年していきなり中小企業の社長が務まるかという問題です。

自分には管理職としての経験があるといっても、まがりなりにも「社長」になるわけですから、管理職とはおのずと業務内容も異なります。

つまり、大企業での経験はほぼ役に立たないと思った方がいいということです。

大企業のイメージは

こんな感じで、

(出典 : https://str.co.jp)

こんな感じですよね。

しかし、中小企業は、

(出典 : https://www.compass-it.jp/pickup/2221)

こんな感じで、

(出典 : https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/sokoage.html)

こんな感じなのです。

もうぜんぜんイメージが違います。

まずもって、大企業のピラミッド型の人材構成がないです。

中小企業の社長は、何でも自分でやらなければ、組織が回りません。

業務をサポートしてくれる秘書もいませんし、「アレやっといて」の一言でアレをやってくれる部下もいません。

レストランなら、オーナーとして経営のマネージメントをしつつ、シェフとして現場にも立ち、なおかつ、人手が足りなければ自ら皿も運ばねばならないということです。

社長である自分が朝から晩までいちばん猛烈に働きながら、従業員に給料を払わなければならないのです。

定年退職したお年寄りがゆうゆうのんびりできる中小企業などないと思うべきでしょう。

さらにやっかいなのは、それまで少ない従業員数で結束して回ってきた会社に、ある日突然「ヨソ者」が入り込んできて、しかも上から目線でアレコレ指図すれば、まず仲間外れになるのが明らかであること。

しかも経営の素人が経営者だと言うのですからこれもよく思われないのは当たり前です。

定年後にそんな茨の道を歩いて、しかも会社が回らず売り上げが下がろうものなら、優雅な老後がふっとんでしまいます。そしてその可能性は非常に高いと思うのです。

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まとめ

M&Aの仲介業者が、超のつく零細事業(私の経営しているECサイト)にまで飛び込み営業をかけているということは、仲介案件を探すのに必死だからでしょう。

団塊世代が一線を退くので、多くの中小企業が廃業の危機にあるといっても、飛びこみ営業をしなければ見つからないほどに優良案件は少ないのです。

その中に飛びこんで、今までとはまったく異なる新しい仕事をイチからしなければならないというのは、老後のあり方としてあまり期待の持てるものではない気がします。

社長はただ座っていればいい、なんて中小企業はありません。みんな必死にやっているのです。

定年前の何倍もの働きが定年後に持続できるのか

個人M&Aが今後「流行る」としたら、まだサラリーマン大家さんの方が良かったということにならないか、他人事ながら心配になるのでした。

以上、個人M&Aの考察でした。ではでは~

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