南和行弁護士がゲイ公表して法律相談を受ける『ハートネットTV』

(出典 : https://www.shochikugeino.co.jp/talents/minamikazuyuki/)

今回は、ゲイであることを公表して、法律相談を受ける大阪の弁護士、南和行さんをクローズアップしたいと思います。

弁護士であると同時に、松竹芸能にも所属し、タレントとしての活動もする南さん。

同じく弁護士で、公私のパートナーである吉田昌史さんとゲイであることを公表して、法律への垣根を低くすべく活動しています。

二人を追ったドキュメント映画『愛と法』の好評もあり、今話題のドラマ『きのう何食べた?』のリアル版ともいわれる二人ですが、弁護士になった理由はなんだったのか。

世界の多くの国が同性婚を承認し、最近では台湾がアジア初の同性婚承認を果たした今、「夫夫」で「ふうふ」と読む二人は社会に何を伝えるのか。それを見てみました。

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目次

プロフィール

なぜ弁護士になったのか?

リアル「きのう何食べた?」 映画『愛と法』

「そんなにシンドイか?」という提言

プロフィール

南和行(みなみ・かずゆき)さんは1976年生まれ。

京都大学農学部を創業後、住宅建材メーカに就職し、研究職として働いた経験があります。

しかし、会社自体は楽しくとも、同性愛者であること、パートナーである「彼氏」がいることを公表、することは難しく、「本当の自分」と「会社での自分」がどんどん離れていくような気持ちを抱いていたといいます。南さんはそれを大阪弁で「しんどかった」と表現しています。

「合コンいかへんか?」「彼女おるんか?」と聞かれ、それに対し本当の自分を答えることができないのがしんどかったのです。

そんな折、パートナーの吉田昌史さんが司法試験に挑戦します。

南さんの父親が弁護士だったこともあり、なら自分も弁護士になれば、ゲイであることをオープンにして一緒に仕事ができる、人生を共に過ごすことができる、と南さんは考えたのです。

そして、ロースクールに通い、念願かなって二人は弁護士となり、大阪の下町に二人で「なんもり法律事務所」を構えました。

ホームページにはゲイであること、二人がパートナーであることも明記しています。

2011年には、結婚式を挙げ、友人に祝福されて「夫夫(ふうふ)」となりました。

(出典 : https://www.huffingtonpost.jp/2015/07/07/doseikon_n_7741432.html)

南さんは、松竹芸能に所属し、タレントとして、また、オリジナル曲のライブをしたりと多方面で活躍しています。

なぜ弁護士になったのか?

二人で公私ともにパートナーとなって働けること、それは何より大きな動機であったそうですが、理由はほかにもありました。

そもそも、弁護士に相談するという状況が、一般の人にとってはたいへんハードルが高いものであることを南さんは感じていました。ましてそこに「自分はゲイである」「レズビアンである」「DVの被害者である」というような「事情」が上乗せされれば、彼ら彼女らはいっそう、法律に触れることが難しいと思ったのです。

そんな人たちに、少しでも垣根が低くなるように、寄り添いたいと心掛けているのです。

昨今、LGBTという言葉もだいぶ浸透しましたが、それでもこの社会は同性婚を認めていません。パートナーが苦しんでいるとき、付き添って病院に行っても「家族」とはみなされないのです。

また、ホームページに列挙している「取り扱い業務」には、ゲイ・同性愛・LGBT問題、少年事件、離婚・男女問題・無戸籍問題や遺言・相続などが並んでいます。

共通しているのは、マイノリティゆえに「あんたが悪い」と社会に言われてしまう人々の案件であること。そして社会から「見えないもの=ないもの」として、排除されている問題であることです。

特に無戸籍児童の問題は深刻だと南さんは考えています。

暴力を振るう夫から逃げて、新しい恋人との間に子どもができた時、その子供は法律上は暴力を振るった夫の子になってしまいます。かといって離婚訴訟をしたり、単に住民票を移すだけでも、夫に見つかるのではないかと恐れている女性にとって、子どもの戸籍の問題は重くのしかかります。

結局、子どもの出生届を出せないまま、無戸籍となってしまう事例が多いのです。

しかし、社会の規範は、あくまでも法律婚が前提です。南さんはこの「見えない子ども」「いないことになっている子ども」の問題に深くかかわっているのです。

そこには家族のあり方と法律の間のすきま、あるいはズレがあるからです。

南さんはそこに弁護士として戦いを挑んでいるのです。

「まずは見えるようにしないといけない」

ゲイであることをオープンにするのも、まず見えるようにすること、という考えからなのです。

リアル「きのう何食べた?」 映画『愛と法』

(出典 : https://maga9.jp/180926-3/)

そんな南さんと吉田さんのことをドキュメント映画『愛と法』として撮った人がいます。

監督の戸田ひかるさんです。

日本だけでなく、世界中で映画を作り続けてきた戸田さんは、南さんと吉田さんを中心にして、「家族」の物語を作ったといいます。

ドキュメント映画『愛と法』は、二人の日常と、二人が関わるしんどい人たちを「見える」ように映し出した作品です。

映画『愛と法』予告編

弁護士の二人の元にやってくる人たちは、セクシュアル・マイノリティや、無国籍・無戸籍児童、「君が代不起立」で処分された教師、作品が罪に問われたアーティストなど。

彼らには「お前がおかしい」「お前が悪い」と社会から糾弾されている共通点があるのです。

(出典 : http://aitohou-movie.com/)

映画のコピーは「それ、罪じゃありません!」という明快な言葉。

作品は2017年に制作され、第30回東京国際映画祭「日本映画スプラッシュ」部門の作品賞や、第42回香港国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞などを受賞しています。

「そんなにシンドイか?」という提言

南さんは弁護士として、法律の面から「家族」や「幸福」を考えています。

憲法13条や14条には、誰でもそれぞれの幸福を追い求めることができる、と明記されています。

しかし、同性婚に反対する人たちは、憲法24条の「婚姻は両性の合意にのみ基づいて行われる」という文言を、「両性=男女」であると定義しています。

とはいえ、同性であることを禁じる、とは書かれていないし、「両性」が男性と男性、女性と女性という組み合わせでも憲法が禁止していない以上、違反ではない、と南さんは言います。

多様な家族観や、社会の多様性=グローバリズムが言われている今、憲法を狭義に解釈して、「違うものは認めない」、「たったひとつの形しか認めない」という時代は終わるべきです。

男女で結婚する人も幸せ、同姓で結婚する人も幸せ、あなたも幸せ、私も幸せ・・・みんなが幸せになることが、どうしていけないのか? 自分と違う形を取る人が幸せになることがそんなにシンドイですか?と南さんは問います。

多様な人が生きているこの社会にゲイのカップルの弁護士として立ち、多様な人たちがいる事実を認めること。意見の違う人を馬鹿にしないことを貫く。

南さんの弁護士としての、人としての立ち位置は、とてもまっとうなものに思えます。

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まとめ

日本の社会は同調圧力が強くなっていると感じる今、それでも口先だけでなく、現実の人の営みとしてそれぞれの違いを認める道は、時代に逆行する人がどんなに多くとも、いずれ本流になると私も思います。

他人の生き方に「自分の常識」を押し付けて反対する人たち、正直シンドクないですか? という南さんの言葉はまさにそのとおりだと思います。

すべての日本人が同じでないといけない、という考えは、決して実現しないゴールへ無理やり走る苦行のようなものなので、その道を行く限り、本当の幸せにはたどりつけないと分かるからです。人はもともといろいろなのです。

南さんが、憲法や法律の面から一人一人の幸福を追求する姿に、こういう道の拓き方があったかと感じました。

この社会が、多様性を許容することのできる成熟を迎えられることを、たとえ時間がかかっても望むことは、まちがいなく、許容に反対する人たちもを幸せにするということに気付いてほしいと思います。

以上、南和行さんの紹介でした。ではでは~

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