魔夜峰央の幻のクリスマス物語、奇跡の単行本化! 美しいロマンに浸りたい人へ『眠らないイヴ』

こんにちは。漫画大好き辰巳です。

今回は『翔んで埼玉』が大ヒット中の魔夜峰央作品から、超レア作品『眠らないイヴ』を紹介します。

どのくらいレアかと言いますと、連載は年に1回、クリスマスにたった4ページのみ、という、もはや限りなく単発に近い作品で、書籍化にあたり、なんと18年分の物語を集めた本です。まさに奇跡の単行本であることは、『翔んで埼玉』の復刊と同じくらいの「事件」と言えるでしょう。

愛とロマンと奇跡にあふれた世界を、絵空事なんて言わずに、美しい世界として楽しみたい人へ、18年ものの豊潤な本作をお勧めします。

あらすじ――美少年のサンタが起こす、年に一度の奇跡

イヴはサンタクロースの孫で、年に一度、クリスマスイブに奇跡を起こす美少年です。

聖夜におじいちゃんを手伝って、世界中の子どもたちにプレゼントを配るのですが、ソリから墜落したり、エントツがないからといって屋根を壊したり、散々です。

人間の願い事を聞いて現れますが、魔法も怪しいもので、簡単には願いをかなえられません。

彼の魔法は「原付免許」程度なので、命を助けてほしいとか、世界をわが手に、なんて「大型特殊車両」並の魔法は使えないのです。

それでも、人間にとっていちばんいい方法で夢をかなえようとして、魔法世界の掟を破ったり、未来を見せたり、人の縁を取り持ったりして、1年に1度の奇跡を起こします。

代わりにイヴ本人は始末書を書かされたり、記憶をなくしたり、あえなく失恋したりするのですが、それでも「ま、いっか」と思って毎年奇跡を起こし続けているのでした。

辰巳の感想――いつも最後は大団円

魔夜峰央の他の漫画と同様に、全編ハッピーエンドで丸く収まるステキな物語が19編収録されています。

クリスマス(とハロウィン1編)の物語ですが、季節を問わず、いつ読んでもOK。ちょっと落ち込んだりしたときに読むとほんわかと心温まる作品です。

魔夜峰央の作品全体に言えることですが、彼は美しいものや美しいことに満ちた世界を愛する「唯美主義者」として、不幸な結末や、救いのない展開は描きません。登場人物もたいてい美男美女、特に美少年なのは、不条理でみにくいこともある現実の人間世界から離れて美しいものを愛でたいという思いからなのだそうです。

とはいえ、厳しい現実から逃げるばかりではなく、本作にも「戦乱の傷あとも生々しい某国」の貧しい子どもたちや、成功率の低い手術におびえる少女、国境なき医師団の医師になる少年など、幸せについて考える時にどうしても目を背けられない世界の過酷な現実も登場しています。そこにハッピーエンドという、美しい奇跡を持ってくるからこそ、物語が温かく、やさしくなるのでしょう。

世の中すさんでてイヤだなあと思ったら、たまには甘いお菓子のようなこの作品を読んで、ほんわかと豊かな気分になるのが、こころの健康に良いかと思います。

作者・魔夜峰央とは・・・

上記しましたが、絵も物語も徹底した「唯美主義者」として、まねのできない独自の作風を持った人です。

何といっても2018年に単行本第100巻が刊行された、超・長寿作品の『パタリロ!』が有名ですが、デビューして間もなくの1978年から書き続けて現在に至るまで、40年以上を経ても画風が変わることなく、初めから完成されていたのもスゴイところだと思います。大阪芸大中退とのことですが、大阪芸大出は変人ばかり、いや、才能あふれる人が多く輩出されているようで、彼も、東洋と西洋が入り混じったような、誰にもまねできない美しい絵を確立しているのが素晴らしいと思います。背景一つ見ても魔夜峰央作品であることが分かる唯一無二の耽美な画風は見ているだけでため息が出ます。子どもの頃に「魔夜峰央のタロットカード」というものを買ったのですが、それはもう美麗なカードで、今でも大切にとってあります。カードと言えば2019年にトランプカードも発売されました。

そんな美しい絵に美しい物語と、不条理なギャグを混ぜた本作も、18年間変わることなく続けられ、単行本としてまとまってもバランスを崩すことなく、1冊の本としてきれいにまとまっています。

そして2019年の春を席巻した『翔んで埼玉』も、実に30年近く昔の作品ながら、現在でも十二分に面白く、映画化されてさらに面白さに拍車がかかるエネルギーを持っていたことは、流行りすたりではなく独自の世界を持つ彼ならではの快挙でしょう。息の長い漫画家さんは多数いますが、過去の作品が古くさくならない、稀有な人だと思います。

ちなみに本作はまだ「連載中」なので、さらに18年後に2巻が出る可能性かあります。本当に2巻が出るんじゃないかと思わせてくれる、頼もしい漫画家さんですね。

*******

『眠らないイヴ』

魔夜峰央(まや・みねお)著

竹書房 2018年発行

以上、『眠らないイヴ』の紹介でした。ではでは~

スポンサードリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする