何もかも忘れてのんびり休みたい人へ『二週間の休暇』

こんにちは。漫画大好き辰巳です。

今回は、仕事ばかりで疲れる毎日がいやになった人へ、『二週間の休暇』を紹介します。

疲れてたり、日々仕事に追われている時につい出てしまうあの言葉、「何もかも忘れてゆっくり休みたい」が本当に実現してしまったら、どうしますか?

トレーシングペーパーの表紙カバーと、全ページ黒と黄緑の2色刷りのこの漫画が、願いをかなえてくれます。

あらすじ――気がついたらこの世界にいた

主人公の日菜子さんがある日目覚めると、人語を話す鳥ばかりが住む不思議な世界にいました。

しかも日菜子さんには過去の記憶がありません。自分がなぜこの世界にいるのか、思い出せないのです。鳥たちの中には彼女をいぶかる者もいましたが、ご近所の「よもぎさん」はかいがいしく彼女につきあってくれる上に、雑誌づくりの仕事を紹介してくれます。のんびりと仕事を始める日菜子さん。

ある日、黒い鳥が2羽、彼女のもとを訪れ、「記憶がないことで不安を感じているなら」と「記憶の紅茶セット」を渡します。その紅茶を飲むと、日菜子さんはオフィスビルでたった一人、夜遅くまで残業している自分を思い出します。ため息とともにつぶやいた言葉は「何もかも忘れてゆっくり休みたい」。。。すると黒い鳥が2羽表れて言いました。「その願望、実現させてみませんか?」

約束の午前4時44分にベッドを抜け出した日菜子さんは、飼い猫の後をついて不思議な世界に入りこんでいきます――。

辰巳の感想――現実逃避という名の休暇

日菜子さんが過ごす「休暇」の物語を読んでいくうちに、自分も鳥の国にいる気分になって、のどかな日々にひたれます。あくせくせずに、こんな風に暮らしていけたらいいなあと思う、そんな世界がなんとも言えずいとおしいのですが、この国にも秘密があり、隠れていた真実がありました。

「ここでないどこか」へ行く話はたくさんありますが、この物語では日菜子さんが自分で選んで元の世界へと帰ります。鳥の国が存在していた理由が分かり、自分が本当は何を忘れていたのかを思い出すことで、休暇は終わるのです。「何もかも忘れて」休暇に飛び込んだはずなのに、逆に今まで忘れていたことを思い出したのです。

日菜子さんと同じように、自分にも忘れているものがあるかもしれない、そう思ってこの物語を読み終えると、自分も二週間の休暇を過ごした気持ちになれる、そんな素敵な物語でした。たぶん誰にでもある、忘れてしまった記憶が、この本によってよみがえると思います。

作者・フジモトマサルとは・・・

動物が主人公の話が多いようで、本作も鳥が擬人化されているわけですが、主人公は人間である、異色の作品だったようです。

2014年にこの本を買って、フジモト氏のことを知ったのですが、他の作品は未読のままでした。今回、この記事を書くためにウィキペディアを見たら、2015年に46歳の若さで病没されていたことを知り、驚きました。氏の公式サイトはまだウェブの世界に存在しており、フジモト氏の日常がそのまま遺品のように残っていたのも哀しく思いました。作者もまた、鳥の国に行ってしまったような気がします。

*******

 『二週間の休暇』

フジモトマサル著

講談社 2007年発行  2016年に新装版発行

*******

以上、『二週間の休暇』の紹介でした。ではでは~

スポンサードリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする