オープンダイアローグは入院投薬なしの新しい精神療法『ハートネットTV』

(出典 : https://medical.jiji.com/)

今回は、フィンランド発祥の新しい精神療法・オープンダイアローグについてクローズアップしたいと思います。

発祥地のフィンランドでは、投薬や入院よりも著しい成果があったとして、世界中の医師や研究者が注目する新しい精神療法です。

患者本人はもちろん、医師や家族、看護師やカウンセラーを交えた大人数でのカウンセリング、というところでしょうか。

具体的にどんなことをするのか、日本での導入はあるのか、見てみました。

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オープンダイアローグとは?

オープンダイアローグとは日本語で「開かれた対話」。

その名前のとおり、患者を中心に、家族や友人、医師や看護師が輪になって対話するという療法です。

1980年代にフィンランドで確立された精神療法で、「開かれた対話」そのものが「治療」であるという、シンプルな療法です。

当事者と、家族や友人、そして医療者が「ミーティング」=対話を行い、1回のミーティングは1時間半ほど。全員が対等な立場で発言し、医療者同士の会話も当事者の前で行われます。

最初は「はい/いいえ」で答えられるような、簡単な「開かれた質問」から始めます。

対話を主導する司会者・議長は存在しません。

また、発言を否定したり、途中で遮ることはNG。相手の言葉に耳を傾けることが中心になります。

そしてオープンダイアローグの最大の特徴は、患者本人の同意がなければ、医療的な決定も治療方針もいっさいしないということです。治療はすべて本人が対話の中で決めるのです。

こころの病気は人間関係の中で起きる、という前提に立ち、対話という人間関係の中で共有することで患者が快方に向かうと言われています。

どんな効果があるの?

フィンランドでは、うつ病や引きこもり、統合失調症の治療で大きな成果が出ています。

特に、治療が難しいとされてきた統合失調症の患者が危機的な状況から脱し、回復する点で注目されています。

統合失調症患者の入院期間は2週間以上も短縮され、投薬が必要な患者も35%まで抑えられたといいます。

また、2年後の追跡調査では、再発がない、また、あってもごく軽かった患者は82%に上り、再発率も24%まで下がったそうです。

これは従来の治療での再発率が71%であったことを見ても画期的な結果です。

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フィンランドでの治療例

患者からの相談の電話が入ると、電話を受けた人が中心となって、医師や看護師、セラピストらで治療チームを編成します。チームのメンバーは、3年間、家族療法のトレーニングを受けた人で構成されます。

そして24時間以内に、患者の家で最初の対話を行ないます。患者が病院へ出向く必要はありません。

対話は、患者が危機的な状況を脱出するまでは、毎日行われます。

対話の目的は、合意や結論ではなく、対話そのものです。

たとえば、妄想がある患者には、そのことを否定せず、「私たちには想像がつかない。みんなに詳しく説明してくれませんか?」というように語りかけます。

患者自らが体験や病状を言葉にして伝えようと試みることが重要なのです。

そして、患者が言葉に表した説明をみんなが聞き、また対話を重ねます。

医師や看護師が医療的な話をする時も、この対話に参加している全員の前で行います。

一方的でない、自分から言葉にしてみんなに聞いてもらう、そのことが症状の大幅な改善にうながるのだそうです。

日本での現状

日本では、精神科医の斎藤環さんの著書がオープンダイアローグに関する最初の提議として注目されました。

しかし、薬物治療や入院が中心の、日本の精神病治療のあり方を大きく変えねばならない点で、普及はまだまだ先のようです。

まず第一に、治療チームを組むための人材の確保が困難であること。また、フィンランドのような24時間体制の敷設や、患者の家を訪問する機動性を持つことも大きな困難となっています。

それでも画期的な治療法として、注目されていることは確かです。

2016年に、オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン(ODNJP)という組織が立ち上がっています。

↑ODNJPのサイト

オープンダイアローグに関して、日本語での情報発信を行ない、セミナーや講演会などの開催や、ワークショップ、専門家の養成トレーニングを実施しています。

また、日本での普及に際しては、保険の適用がネックとなると言われています。

現状、一般的なカウンセリングにも保険は適用されていません。

オープンダイアローグの場合も、適用がされるかどうかは不透明で、患者の負担が大きくなれば普及も難しくなると思われます。

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まとめ

画期的な治療法であり、発祥からすでに30年以上もの間、実績を積み重ねてきたオープンダイアローグ。

日本でこの治療を受けられるかどうかはまだまだ未知数というのが現状です。

しかし、特に統合失調症など、従来では根治の難しかった病気に大きな治療成果を持つこの方法を、日本も一部なりとも導入してほしいと思います。

ただ、日本人は思っていることを言葉にして伝える、という対話自体が難しいかもしれません。

発言者の言葉を遮らずに聞き、否定しない、議論しないというルールも、なかなか困難なように思われます。

人間関係のストレスによって、うつ病や適応障害など、精神疾患が起こる背景に、日本人の対話力の不足があるのではないかという気がするのですが、どうでしょうか。

そもそも自分の思っていることをはっきり相手に伝えられていれば、病気にはならなかった、という人もいるかもしれません。

さらに、職場に限らず、家族の中にあっても「対話」が少ない、あるいは「対話がヘタ」な日本人の意識は、「以心伝心」や「空気を読む」「察する」という思考法にあって、「言わなくても判ってくれるでしょ?」という過剰な期待を生んでいます。

しかし、人は「話さなければ伝わらない」のです。

オープンダイアローグで行なう「対話」は、専門家の治療としてでなく、日常のあり方としても、目指すべきところではないかと思いました。

人の話を聞く、自分の思いを言葉で人に伝える、という、とても重要なことがなかなかできない日本文化に、オープンダイアローグの手法がいきなり導入されても、まず基本的なところが日本人には難しいかもしれません。

以上、オープンダイアローグの紹介と感想でした。ではでは~

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