↑譲渡会の様子。
(出典 : https://gendai.ismedia.jp)
最近は、動物愛護の観点から、
新しくペットを飼う時の方法として、
ペットショップで買うのではなく、
保護団体が譲渡する保護犬や保護猫を
里親として迎えるという選択肢が
注目されています。
その半面、保護団体が里親に求める
条件が厳しすぎて断られてしまうことも多く、
結局ペットショップで買うしかない
という人もいます。
なぜ動物の譲渡には厳しすぎる条件が
あるのでしょうか。
一方で、保護団体の中には、ペットを
飼うことへの「保険」を提案する新しい
動きも出ています。
人もペットも幸せになりたいという夢を、
どうすればかなえられるのか、見てみました。
ヒカキンは保護猫を譲渡してもらうべきだった?
人のさまざまな思惑から、飼育を
放棄されたり、安易に捨てられり
する犬や猫は残念ながらとても
多いものです。
そんな動物たちにとって最悪の
結果は殺処分です。
それを防ぐために犬や猫を保護して、
新たな飼い主へと引き継ぐ団体が
あります。
多くはNPO法人として、
ボランティアを中心として
活動しています。
「もし、犬や猫を飼いたいと思ったら、
ペットショップで繁殖された、高価な
純血統種を買うのではなく、
保護団体から譲渡してもらってほしい」
という考え方もだいぶ広まってきました。
1年以上前になりますが、
人気ユーチューバーのヒカキンさんが、
ペットショップで子猫を購入した際も、
「保護猫を譲渡してもらうべきだった」
という声が上がったほどです。
しかし現実には多くの保護団体が
譲渡に際して厳しい条件を課しており、
その条件をクリアできず、
結局ペットショップで買う、
という悪循環が生まれているのも事実です。
厳しすぎる譲渡の条件
実際にある条件は、以下のようなものです。
・12歳以下の子どもがいる家庭はダメ。
・4時間以上無人になる家庭はダメ。
・60歳以上の高齢者はダメ。
・独身の男性はダメ。
・一人暮らしはダメ。
・同棲しているカップルはダメ。
・外国人はダメ。
・外国人と日本人のカップルはダメ。
・継続した収入源のない家庭はダメ。
・身分証明書や、収入証明書類の
提出をしないとダメ。
・万が一の際にペットを託せる
後見人のいない人はダメ。
・転勤や海外赴任のある家庭はダメ。
・譲渡前に飼育状況を見るための
アポなし訪問を受けないとダメ。
・譲渡後も定期的な報告をしなければダメ。
・賃貸物件はペット可でもダメ。
・狭い家はダメ。
・手作りごはんでなければダメ。
などなど、書き出すときりがありません。
「裕福な家庭で、子供が10代くらい、
親が40代前後。母親は専業主婦で、
広い家に住んでいる。」みたいな人
でないとダメじゃん。
そうじゃない人は、犬や猫と暮らすなってこと?
という声もありました。
ペットを飼うということは、
富裕層だけの特権なのでしょうか。
どうしてここまで厳しい条件が並ぶのか?
ひとつは「国の指導があるから」といいます。
NPO法人の場合は、助成金などを受けるに
あたり、国から指導が入るため、譲渡に
慎重にならざるを得ない、という事情が
あるのだそうです。
もうひとつは、保護団体の人たちが
保護した犬や猫を大事にするあまり、
人間不信になっているから、という
側面もあると思います。
(出典 : https://gendai.ismedia.jp)
譲渡するにあたっては、万が一にも
不安な材料があればすべて取り除き、
絶対に犬や猫を幸せにしてくれる、
完璧な人に飼ってもらいたい、
という気持ちが強すぎるケースです。
無責任な飼い主に安易に捨てられたり、
虐待を受けたり、多頭飼育が崩壊して
凄惨な環境で生き延びてきたりした
生き物を保護する仕事は、非常に
ストレスのかかるものです。
そんな身勝手な人間に殺されかかって
いる犬や猫を毎日見続けていれば、
人間不信になるのも当然でしょう。
しかし、あまりに条件が厳しいと、
譲渡が成立しません。
中には動物と人との「お見合い」が、
10組あっても1組も成立しないことが
ザラ、なんて団体もあるといいます。
また、保護猫を受け入れようと
団体を訪ねたものの、特に収入証明などの
個人情報の提出を求められることに
疑問を感じ、二の足を踏んでしまう人も
多いのが現実です。
人間不信の人にあれこれプライバシーを
詮索され、疑いの目で見られることは
愉快な経験ではありません。
それならはじめからペットショップに
行って買う方がラクだし確実だという
意見も多くなっています。
保護団体に対するネットの声
ネットでは実際に保護団体を訪ねた
人たちの言葉が多く見られます。
私も引き取れなくて相当悔しかったよ。
理由が「ご飯は必ず手作りのものを
与えてください。」だって。(笑)
鼻で笑っちゃいますね。
自分達はなかなか引き渡さないのに
ペットショップでは買うなという。
禅問答かよ。
訳のわからん奴に個人情報わたして
何年も管理されるなんて御免だなと
思いました。
面接の最後にペットショップで
かうから大丈夫です。っていったら
めちゃ睨んでた。
たぶん引き取り大丈夫ですよ。って
言われたけどあんたらから
引き受けるのが嫌なんです。
こちらのルールを無視して
自分たちのルールと価値観を
押し付けてくる身勝手さに
腹が立ち、信用もできなかった
のでその保護団体には二度と
行ってません。
そういう団体とても多いですよ。
保護動物たちもご縁を逃していると
思います。
資格だのご縁だの上から目線で
何様のつもりでしょうね。
里親の会の人も自分が絶対に正しいと
思っている人が多くて、
会話が成立しない人ばっかでした。
残念ですが、私たちカップルも
「縁がなかった」とされました。
申込金まで取って、それも返せないと。
申込金も返さないのは、縁以前に
詐取の疑いがありますが、
保護団体と譲渡希望者との間に
決定的な溝が深く存在することが
分かります。
すべての団体がこうだとは思い
ませんが、譲渡以前、ペットを飼う
以前に、人と人の間に合意が
成り立たない状況は、動物たちの
幸福につながらないと思います。
厳しい条件の理由
人間の勝手で放り出されたり、
死の危険にさらされたりした
動物たちを助け出し、無償で
愛を注いできた保護団体の
人からすれば、次こそは
何不自由ない家庭に引き取られ、
十分に愛され、命尽きるまで
完璧に飼われてほしいという
気持ちが強いのは仕方ない
ことかもしれません。
また、安定した収入がなければ、
高額な治療費のかかる動物病院に
連れて行ってもらえないかも
しれません。
狭いワンルームマンションで
大型犬を飼うのは無理があります。
中にはごくごく少数ですが、
虐待目的で動物を手に入れたい
人もいるのです。
保護団体の人たちは、動物たちに
二度と不幸を味わわせたくないのです。
「もし飼えなくなったら」に備える新しい活動も
野良猫の保護と譲渡を行なう
東京キャットガーディアンでは、
飼い主が病気や入院、あるいは
経済状況の変化や、高齢で施設に
入る、最悪の場合は急死したなど、
様々な事情から猫を飼えなくなった
時に、引き取りと新しい飼い主を
探すための活動「ねこのゆめ」を
行なっています。
↑ねこのゆめカード
(出典 : https://tokyocatguardian.org)
月々3,800円の積立金を6年間払い
(273,600円/1頭につき)、
満期になると、いざという時に
猫を引き取ってもらえるという
ものです。
積立金は中途でも満期後でも解約・
返金されますし、契約者には
「ねこのゆめカード」が発行され、
いざという時でも猫を安全に
託せる方法を表明することが
できるようになっています。
この方法なら、保証人も不要ですし、
高齢者でも安心して猫を飼うことが
できますね。
人間と動物が幸せに暮らすために、
人間にできることはたくさんある
と思います。
保護団体の人が人間不信から
脱却でき、飼いたい人が責任をもって
愛情を注げる。
どちらも不幸な犬や猫、ひいては
人間を生まないために必要なこと
でしょう。
ペットと暮らすことは、ごく一部の
人だけの特権ではないはずです。
以上、保護犬・保護猫をめぐる
問題についてでした。
ではでは~