村瀬誠の雨水利用法と両国国技館 海外の活動『フューチャーランナーズ』

(出典 : http://104ka.net/jilist/series/15/)

今回は、ドクター雨水と呼ばれる雨水活用のパイオニア、村瀬誠さんをクローズアップしたいと思います。

「流せば洪水、貯めれば資源」をモットーに、東京墨田区で雨水を貯めるプロジェクトを立ち上げ、その後、各地の施設にも波及する雨水利用モデルを創り上げました。

さらに雨水利用をビジネスモデルとして確立し、発展途上国など、水環境に恵まれない地域にも雨水の利用を普及させています。

ひとりの区職員が、世界を変える事業を起こすまでの道のりを見てみました。

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プロフィール

村瀬誠さんは1949年生まれ。

1976年に千葉大学で修士課程修了、その後、東京都墨田区の区職員となります。

1981年に、台風による豪雨のため、区内の領国や錦糸町などで洪水被害が出たのをきっかけに、洪水防止と水資源としての活用双方の面から雨水を貯蔵・利用することに注目するようになりました。

1985年に完成した両国国技館に大規模な雨水利用設備を設置し、大規模施設での雨水利用を成功させ、事業モデルを築きました。

1994年に、墨田区で雨水利用東京国際会議が開催された時には、実行委員局長を務めます。

2002年には、環境のノーベル賞と言われるロレックス賞に準入賞。

2003年に開かれた、第三回世界水フォーラムにも参加し、雨水利用の分科会に出席。「No More Tanks for War, Tanks for Peace」――戦争のためのタンク(戦車)はいらない。平和のためのタンク(水槽)をと訴えました。

2009年に区役所を定年退職後は、株式会社天水研究所を立ち上げ、代表取締役に就任。国内外の雨水利用プロジェクトに携わっています。

また、静岡県の自宅にも雨水タンクを設置、非常時には近隣の人すべてに水を供給できるようにしているそうです。

雨水は「流せば洪水、貯めれば資源」と村瀬さんは言います。

(出典 : http://104ka.net/jilist/series/15/)

雨水の利用法とは

都会はアスファルトに覆われていて、地下に染みこむ雨水の量が少ないため、豪雨などでは容易に水害を招きます。

墨田区で雨水利用が注目されたのも、墨田区内の両国や錦糸町という、たびたび洪水に見舞われる場所への対策でした。

区職員であった村瀬さんは「雨水を貯蔵する」ことを企画します。

雨を貯めるメリットは4つあります。

1.洪水対策。大雨の際に雨水をタンクに貯めることで、河川への流入を減らし、下水の逆流を防ぐ。

2.防災対策。消火用の他、水道が止まった際の水源として利用する。

3.渇水対策。雨水による備蓄をする。

4.節水対策。施設で使う水に雨水を利用することで、節水効果が大きく、タンクなどの設備費を数年で回収できる。

調査によると、墨田区の1年間の降水量と、水道使用量はほぼ同じだったといいます。ならば、水源を上流のダムに頼るのでなく、下水に流していた雨水を利用することで、資源として利用できないかと村井さんは考えます。

そうして雨水利用の計画は、両国へ移転する国技館の建設で実を結ぶことになります。

雨水活用の成果・両国国技館

台東区から墨田区両国へ国技館の移転が決まると、雨水利用のプロジェクトは、たびたび洪水の起こる両国を治水するために、地下に巨大なタンクを設置することを提案します。

約8400㎡の大きな屋根で雨水を集め、川でなくタンクに流入させることで洪水は防げると見たのです。タンクは当時アジア最大規模の1,000トン容量のものが使われることになりました。

また、集めた水は、館内のトイレや冷房設備などに回し利用することで、使用する水の7割をまかなうことができ、大幅な節水もできました。

この両国国技館かモデル事業となり、墨田区では雨水利用をルール化、その後の東京スカイツリーなどにも生かされました。

現在では、国内の都市圏を中心に雨水利用の施設が増えています。

2014年には国会で「雨水利用推進法」が成立しました。

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海外でのビジネスモデル

村瀬さんの活動は、日本を飛び出し、世界へと向けられました。

世界では、安全な水を利用できない人が7億人以上いるとされるているからです。

特に力を入れているのが、バングラディシュでの活動です。

バングラディシュでは水道の普及率が低く、池や川は汚染されているため、健康にも被害が出ていることに加え、ユニセフが掘った井戸からヒ素が検出されるなど、水資源において過酷な環境にあります。

村瀬さんはボランティアで現地へ赴き、雨水利用のノウハウを伝え、同時に雨水タンクの製造や販売、修理などの面はすべて現地に拠点を置いて雇用も増やしました。

何より重視したのは、単なる一時的な寄付ではなく、現地で持続的に続けられるビジネスモデルだということです。

貧困層の人でも買えるよう、価格を抑え、2012年から「AMAMIZU」という名でタンクの販売を始めました。

購入した人たちは汚染された水による深刻な下痢から解放され、水くみの重労働も減ったと歓迎されました。

また、富裕層にはより大型の高価格のタンクを買ってもらい、利益も出ています。

雨水タンクが現地でビジネスとして定着、成功することが普及のカギだと村瀬さんは思っています。

(出典 : http://104ka.net/jilist/series/15/?page=2)

まとめ

安全な水の確保されない土地に住む人は約11億人と言われています。将来はもっと増えるとも予想されている、重要な問題なのです。

村瀬さんは定年後の人生を、世界の水危機に雨水の貯水という方法で立ち向かいたいと考えています。

そして、雨水利用の方法を後進に伝えること、それが村瀬さんのミッションなのです。

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