(出典 : ウィキペディアより)
今回は、10月2日オンエアの
『ドキュメント72時間』に
登場した、メリーゴーランドの
カルーセル・エルドラドを
クローズアップしたいと思います。
日本最古、そして世界でも
最古級のこの回転木馬はいつ
どのようにして作られ、
使われてきたのか。
そのドラマチックな歴史と特徴、
そして機械遺産に認定された経緯、
絵本や写真集などの記録と、
としまえん閉園後の行く末などを
見てみました。
ページの最後に、
『ドキュメント72時間』の
記事をまとめてあります。
そちらもご覧ください。
カルーセル・エルドラドとは?
カルーセル・エルドラドとは、
2020年8月31日で閉園した
遊園地・としまえんにあった、
歴史あるメリーゴーランドの
名前です。
カルーセルは回転木馬、
エルドラドは黄金郷という
意味を持ち、その名のとおり、
きらびやかな装飾の美しい、
古き良き面影をもった遊具
でした。
としまえんの最終日には、
多くの人がこのカルーセル・
エルドラドを惜しみ、拍手で
ラストランを終えています。
カルーセル・エルドラドの歴史
ドイツで誕生
カルーセル・エルドラドが
制作されたのは1907年。
実に113年も昔のことになります。
100年を経た現代でも立派に
稼働する、それだけでも貴重な
機械といえます。
製作したのはドイツの機械技師の
ヒューゴー・ハッセという人物で、
「世界一豪華な回転木馬を作り
たい」という思いで設計した
そうです。
当時のヨーロッパの遊園地は、
都市から都市へと移動して
巡業するものだったため、
解体と組み立てを繰り返せる
構造を持っていました。
アメリカへ売却
第一次世界大戦のドイツ敗戦で、
カルーセル・エルドラドは
アメリカ・ニューヨークのコニー・
アイランドの遊園地に売却され、
大西洋を渡ります。1911年の
ことでした。
ちなみにコニー・アイランドは、
当時からアミューズメント地区と
して有名でしたが、ホットドッグ
発祥の地としても知られており、
毎年7月4日の独立記念日には
ホットドッグの早食い大会が
行われるところです。
カルーセル・エルドラドは、
そんなコニー・アイランドで
50年の間、稼働し続け、
ニューヨーク市民に親しまれて
きました。
しかし、1964年に遊園地は
閉鎖。カルーセル・エルドラドも
解体され、倉庫に入れられて
しまいました。
再び売却~日本へ
しばらくするとカルーセル・
エルドラドは売却されること
になり、ここで日本の
としまえんが登場します。
としまえんは1969年に当時の
金額で1億円という高値で
カルーセル・エルドラドを購入、
日本へと輸送しました。
しかし、日本に到着したコンテナに
あったのは・・・
ゴミ?ガラクタ??としか言えない
部品ばかりでした。
(出典 : https://trip-s.world)
しかも、ドイツで誕生したころの
面影は全くなく、アメリカで
安っぽい原色にペイントされた
ものがさらに剥げ落ちて無残な
有様に。。。
(出典 : https://trip-s.world)
部品もボロボロ。
しかも組み立て方や完成図などの
資料はまったくなかったそうです。
としまえんの日本人スタッフは、
ドイツで稼働していた頃の、
カルーセル・エルドラド本来の
姿に戻すべく、地道な修復を行ない
ましたが、作業は難航し、日本での
お披露目は2度も延期されたそうです。
また、修復の費用もふくらみ、
買値の1億とは別にさらに2億円が
かかったそうです。
としまえんのシンボルに
そんな苦労の甲斐あって、
カルーセル・エルドラドは
1971年に美しく復活し、
としまえんのシンボルともいえる
乗り物として再び人々を楽しませ、
2020年の閉園まで動き続けた
のです。
カルーセル・エルドラドの特徴
カルーセル・エルドラドが
生まれた時代は美術の世界で
アール・ヌーボー様式が全盛を
迎えていた頃だったため、
装飾はアール・ヌーボー独特の
豪華なものになりました。
現在では美術品としての価値も
有するほどの美しさを誇っています。
(出典 : https://kyotaka.exblog.jp)
さらに、ゴンドラや木馬、豚と
いった乗り物はすべて手彫りの
木製で、同じものが2つとない
ユニークなものであるのも、
歴史的な価値を高めています。
↑それぞれ表情が違う白馬たち。
(出典 : https://j-town.net)
ドイツでは幸福の象徴と言われる豚も。
(出典 : https://twinklecafe.wordpress.com)
機械遺産に認定されたカルーセル・エルドラド
カルーセル・エルドラドは、
2010年に機械遺産に認定されました。
機械遺産とは、110年以上の歴史を
持つ日本機械学会が認定するもので、
歴史に残る機械技術の保存と継承を
目的としています。
カルーセル・エルドラドの
歴史的な価値と、文化に貢献した
面を評価しての認定となりました。
カルーセル・エルドラドの絵本、写真集など
カルーセル・エルドラドの
ドラマチックな歴史を描いた絵本が、
としまえんから発行されています。
(出典 : アマゾンより)
現在、アマゾンで47,000円という
プレミア価格がついているお宝本です。
また、写真集も2020年3月に発売され
ましたが、重版も売り切れており、
こちらもお宝本になるようです。
(出典 : アマゾンより)
閉園後、カルーセル・エルドラドはどこへ
このように、歴史的にも貴重な
カルーセル・エルドラドは、
としまえんの閉園後、
どうなってしまうのでしょうか。
としまえんの跡地は練馬城址公園
となり、都の防災拠点になると
同時に、ハリー・ポッターの
テーマパークの開園が決まって
います。
所有者である西武鉄道は、
保存と今後の活用のために
あらゆる可能性を検討して
いると表明しており、
西武園ゆうえんちに移転する
案も検討しているそうです。
ふたたび動き出し、美しい姿で
人々を楽しませてくれる日は
来るのでしょうか。
歴史的遺産ともいえる
カルーセル・エルドラドの
存続を、多くの人が願っています。
以上、カルーセル・エルドラドの
過去、現在、未来についてでした。
ではでは~
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