(出典 : https://www.aichi-med-u.ac.jp/hospital/sh04/sh0404/sh040404/)
今回は、愛知医科大学病院の痛みセンターをクローズアップしたいと思います。
体のどこかが痛い時、意外と面倒なのが、「病院のどこの科を受診するか」だと思います。
中でも痛みという症状は理由が分からない場合が多く、ひどい時は何か月も続いて日常生活の質を落とすやっかいなものです。
痛みセンターは、そうした原因不明の痛みを、科を越えて多角的にとらえようとするチームです。
では実際に、どのような人たちが受診し、どのような治療法が行なわれているのか、見てみましょう。
痛みセンターとは?
痛みにはさまざまな種類があります。
頭痛,腰痛,肩こり,神経痛,手術後の痛み,さらには、病気が治ったのに痛みだけが残っているものなど、特に慢性的な痛みについては原因不明の場合が多いものです。
しかも、これまでの受診では、各科バラバラに治療を受けねばならなかったこともあり、経済的な面からも負担が大きかったのが実態でした。
痛みセンターはこうした慢性的な痛みについて、痛み治療に専従する専門家たちがひとつに集まり、痛みの身体的な面に限らず、精神的、社会的な影響にいたるまでを総合的に診断し、治療する、全国で初の組織です。
来たる高齢化社会では、痛みの治療が重要であることも明らかです。
愛知医科大学病院の痛みセンターは、そうした需要にも応えるための診療体制を作るべく、全国10大学と共同で、研究・治療をおこなっています。
痛みの治療方法とは?
痛みセンターに集まる医師たちの専門は、整形外科、麻酔科学、ペインクリニック、東洋医学、歯科、緩和医療、理学療法学、心理学など、多岐にわたります。
さらに、痛みの原因を身体的な問題に限らず、心理的な原因や、社会的要因などにも問題点を見出し、追及しています。
たとえば慢性的な腰痛の場合。
身体的な原因は、圧迫骨折や、腫瘍、感染性疾患などがありますが、実は腰痛の85%は原因不明とされています。
そうした「原因不明」の痛みは、実は心理的・社会的な要因、つまりストレスが関わっている場合が多いと、痛みセンターではみています。ストレスが、痛みを抑えるシステムを機能不全にしている場合は、従来の「体の治療=服薬」をしているだけでは、効果がなかなか得られないのです。
そのことから、痛みセンターでは、身体的な理由の見つからない痛みに対する見方を変え、心理的なアプローチで痛みを取る方法を採ります。
具体的には「認知行動療法」と「運動療法」です。
腰痛の発症や慢性化は、心理的なストレスが関与していることが、日本整形外科学会や、日本腰痛学会の発表で認知されるようになっています。
「認知行動療法」は、ストレスを減らすために、ストレスの元になる考え方(認知)自体を変えるものです。例えば、「また失敗してしまった→自分はダメな人間だ」という感情を、「人は誰でも失敗する→ダメではない」という方向に変えていくことで、自分に対してダメ出しをするストレスを減らすのです。
精神的なストレスの原因は、他にも職場などの人間関係や、仕事の量、仕事自体への不満など、社会的なものもあり、それらがうつ状態を引き起こす強い原因であるとされています。こうした社会的なストレスに対しても、体は「痛み」という形で「症状」を起こすことがあるのです。ここにも心理学的・精神医学的なアプローチがなされます。
もう一つ、「運動療法」も原因不明の痛みに対処する方法として注目されています
普通、腰が痛いとなると、なるべく腰に負担をかけないように、なるべく安静にしようとします。しかし実は安静は有効な方法ではないのです。
慢性の腰痛は、安静よりも、適度に体を動かした方が症状を軽くすることが指摘されているのです。
言うならば「あまり気に病まない」ということでしょうか。また痛くなったらどうしようとか、ずっと痛いから悪い状態なんだと思いこむのは逆効果であるから、動いた方がいいということなのです。
痛みセンターでは、ストレッチやマッサージなどで筋肉をほぐし、血液やリンパ液の流れを増やすことで、筋肉の緊張を解き、動きやすくする方法を採っています。
慢性的な痛みに対しての運動は、痛みのない範囲でどのくらい歩けるかなど、まずは簡単な目標から始めて、活動量を増やし、動ける範囲を広げていくようにします。
目標や結果はノートなどに記録し、課題を達成できた時は自分にご褒美をあげます。ご褒美や達成感で心理的に前向きになることが効果を生むそうです。
受診するにはどうしたらいいの?
「痛みセンター」は完全予約制です。
現在受診している医院に相談し、地域医療連携室を通して予約をとります。
また、遠方であるなど、受診が難しい場合は、厚生労働省の「からだの痛み相談支援事業」の、「NPO法人いたみ医学研究情報センター」に相談することもできます。
こちらの「いたみよろず相談」で、電話での相談をが可能です。
<電話相談窓口 相談料無料>
TEL:0561-57-3000(看護師が対応します)
月~金曜日 9:00~17:00
(※12:30~13:30は職員の休憩時間となります)
まとめ
実は私は、心理的なストレスがかかかると歯が痛くなるという変な癖があります。虫歯ではなく、歯の神経が痛むのです。いちばんひどかった時は、前歯の神経が腐ってしまい、歯医者さんで歯に穴を開けたらうみが出てきたことがありました。
痛み止めを飲んでも効かない、という場合は、身体的ではなく心理的な症状である可能性も多いということを知っておいた方がいいでしょう。
そうしていつか、「いつの間にか痛くなくなってた」と思える時が来るといいですね。
以上、愛知医科大学病院の痛みセンターの紹介でした。ではでは~