(出典 : https://baby.mikihouse.co.jp/information/post-8036.html)
今回は、慶應義塾大学・医学部教授の高橋孝雄さんをクローズアップしたいと思います。
小児科医として、子どもと向き合う時、高橋さんは子どもの人生と同じくらい、おかあさん・おとうさんの人生を考えると言います。
親と子の関係は、子どもだけでなく、親にとっても重要なのです。
子どもの未来を考えるのと同じくらいに、親自身の人生を考えることも大事。
子どもばかり見ていては、お医者さんも親御さんも分からないことだらけです。
高橋先生が子育てにおける親の悩みや夢、ひいては親自身の人生についてアドバイスしています。
プロフィール
高橋孝雄 (たかはし・たかお)先生は1957年生まれ。
慶應義塾大学医学部卒業後、小児科医になりました。
6年目にアメリカ・ハーバード大学、サチューセッツ総合病院へ家族を連れて留学。
帰国後、慶應義塾大学教授に就任。
長女、次女、長男の3児の父で、自身の子育て体験も披露しています。
趣味はランニングで、自称「日本一足の速い小児科教授」だそうです。
親の悩みを解消することが子どもの治療につながる
「子どもを治したければ、お母さんを治しなさい」
と、高橋先生は言っています。
それは、小児科医が子どもと親双方にとっての代弁者であるからと言います。
子どもが病気である時、医者は子どもの症状ばかりに目が行きがちです。
しかし、よくよく見て、話を聞いてみると、親自身に何かの悩みや心配事がある場合もあるのです。
それが理解されずに不安になり、その不安が子どもに響いていることが多いのです。
例えば、虐待の加害者である親に、あなたにも何か事情があるのではないですか?と問いかけてみる。
すると、「実は・・・」と真の問題が見えてくるのだそうです。
まさに「子は親の鏡」。
子どもの病気を治すために、親に寄り添ってみることの大切さを説いています。
親の夢は子どもに託さない
高橋先生が良く受ける質問に、習い事についての相談があるそうです。
たとえば、早いうちから英語を勉強させて、将来、英語で困らないようにしてあげたい。
水泳教室に通わせて、心身を鍛えさせたい。
あれもこれも、少しでも早いうちからやらせた方がいいのではないか。。。
しかし、高橋先生の答えは「ノー」です。
早くから習い事をしてもあまり意味がない、と、バッサリです。
子どもが好きなことをさせてあげる。
無理強いしても、いいことは一つもないからです。
幼児のうちから無理やり英会話を勉強させて、子どもがそれを苦痛に感じていれば、その害の方が重大な悪影響を及ぼすといいます。
好きなことをやらせてあげて、ほめてあげる。
それが一番重要と言いますが、世の親御さんは「でも、やっぱり大きくなってから苦労はさせたくないし」と思うでしょう。
しかしそれは、本当に「子どものためなんですか?」と高橋先生は問い返します。
本当のところは、
「自分が英会話ができないので、子どもにはできてほしい」
と、自分の夢を子どもに託しているのではないですか?と先生は尋ねます。
そして、自分の果たせなかった夢を子どもに託してはいけない、と高橋先生は忠告しています。
「早いうちから勉強させて、将来、勉強で苦労させたくない」
しかし、幼児のうちから勉強をさせれば、将来、天才になるというわけではないのです。
他の子より早くできるようにはなりますが、成長すれば皆と大差ない。または、親自身の成績と大差ないところで止まってしまう、と高橋先生は釘を刺します。
自分が果たせなかった夢を、子どもでかなえようとするのは違う、と。
子どもに託さず、今からでもいいから自分でやってください、というのが高橋先生のアドバイスなのです。
親が後悔すべきは自分の人生
「子どもに後悔させたくない」
という親の気持ちも、実は親自身の後悔だと高橋先生は言います。
親自身が後悔したくないから子どもにやらせている。
あとになって「もっと勉強させればよかった」とか、「早いうちから英語を勉強させておけばよかった」という後悔を、誰よりも親自身がしたくない。
高橋先生自身、自分の子育ては後悔ばかりと言います。
朝、家を出る時に、娘に「また来てね」と言われて切なくなったり、息子に「決めつけないでよ」と泣かれたり。
親は子育ての中で、大小さまざまな後悔をするのです。しかしそれを申し訳ないと子どもにじかにいうのは良くないのです。
もっと英会話を勉強させておけば良かった、と子どもに対して後悔し、それを子どもにいうのは筋違いです。
子どもに英語力をつけさせたいと思ったら、おかあさん、おとうさん自身、まず自分たちが勉強すればいいのです。
子どもに自分の夢をすべて背負わせ、一生分のレールをすべて敷いてやるというのは無理なのです。
何より、子どもには子ども自身の「できること」がすでに備わっているから、と高橋先生は強調しています。
そして、それは親自身にも備わっている。
まずは親からやってみる、といって、高橋先生は親をサポートしているのです。
まとめ
(出典 : https://hanakomama.jp/topics/63545/)
誰しも子ども時代があったわけですから、「親の期待」を背負わせられることのつらさを分かりそうなものですが、子どもが生まれるとどうやらそれを忘れてしまうようです。
自分は英語ができなくて苦労した。だから子どもには早期教育をして、苦労や後悔をさせたくない。
一見、正しく見えますが、それは親が描いたシナリオに過ぎないということをあらためて思いました。
子どもにさせるのではなく、親自身がすればいい。
まさにそのとおりだと思います。
親が後悔だらけの人生では、子どもが幸せになるのは難しい。
子どもが生まれたら子供中心の人生になるのではなく、親も自分自身の人生を精一杯生きる。
「夢を託さない」とはそういうことだと思いました。
小児科医の医師のアドバイスは、実は親への一押しだったのですね。
以上、高橋孝雄先生の紹介でした。ではでは~