染谷和孝フォーリーアーティストは映画やゲームの音を作る『嵐にしやがれ』

(出典 : http://surroundterakoya.blogspot.com/2008/09/54-foley.html)

今回は、フォーリーアーティストの染谷和孝さんをクローズアップしたいと思います。

フォーリーアーティストとは耳慣れない職業ですが、映画やゲームなどに、独自に作った音を加えて臨場感を出す仕事で、ハリウッドでは非常に重視されている制作部門だそうです。

「効果音」という言葉もありますが、フォーリーアーティストはその音の作り手です。

具体的にどんな仕事をしているのか、どうやって音を作っているのか。

私自身、アニメや漫画などのドラマCD が好きということもあって、音だけで作られる世界に興味があったので、調べてみました。

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プロフィール

染谷和孝さんは1963年生まれ。

東京工学院専門学校を卒業後、ビクター青山スタジオ、IMAGICAなどでの勤務を経て、2007年に、ダイマジックのスタジオ設立に参加。

2014年からはビー・ブルーに移籍し、サウンドデザイナ ー、リレコーディングミキサー、そしてフォーリーアーティストとして活躍されています。

また、同14年には、日本初の Dolby Atmos対応のスタジオをオープンさせた先駆者です。

映画作品では、1998年の、たむらしげる監督作「クジラの跳躍」で、ミキシング技術VP 部門のゴールド賞を受賞。

2013年には、スクウェア・エニックスのゲーム「Final Fantasy ⅩⅢ3」の音を担当。実際に映像を撮影することのないゲーム界でフォーリーサウンドの重要性を世に打ち出しました。

フォーリーサウンドとは?

フォーリーサウンドとは、実際にはどんな音を指すのでしょうか。

一つは、登場人物の動作音。例えば、靴音や衣服の擦れる衣擦れの音、アクセサリーや持ち物が出す音などです。

もう一つは、その他の動きが生む音全般で、例えば、水の音や風の音、ドアの開け閉めの音や、岩がぶつかる音、火事現場のまさに燃える音など、すべての音を指します。

音は、映画撮影の現場でも、マイクをとおして収録されます。フォーリーサウンドは、それらに加え、マイクが拾いきれなかった音や、現実にはあり得ない音などを加え、実物よりもより「リアル」と感じさせる音を作り出して登場人物やシーンを演出する、重要なパーツと言えます。

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音の作り方は?

(写真出典 :
本人Facebookより https://www.facebook.com/someya.kazutaka

フォーリーサウンドのスタジオには、階段やドアなど、実際に音を出す大道具の他、服や靴、かばん、果ては塩や砂、ゴム手袋やレジ袋など、何に使うのか分からないものまでがそろっています。

収録は、キューシートと呼ばれる、どこでどんな音がするのかを書いた、音のシナリオをもとに進めます。

靴音は、わりと分かりやすい音ですが、普通に「歩く」と意外と音は出ないとか。なので、フォーリーアーティストが音を作って「実際よりもリアル」に仕上げるのだそうです。

穿きつぶした靴で布や石の上などを踏みつつ、男か女か、どのくらいの体重なのか、どんな歩き方をしているのか――焦って急いでいるのか、余裕を見せて堂々と歩いているのかといった感情表現までをこめて作るそうです。歩いている場所によって、砂を踏む音なども入ります。

女性の足音の場合は、地面につく面積を小さくして表現するそうです。ハイヒールなどは実物を使うこともあるそうです。

また、かばんを持った登場人物の衣擦れの音は、中身の入ったかばんの重さによって、登場人物の体重を表現できるそうです。これは意外というか、靴音に比べ、素人には想像しづらいですね。

ほふく前進のシーンでは、手、肘、ボディ、足、つま先の各ブロックで音をパーツ取りして合わせるなど、重層的な音の重なりは、素人には気が遠くなります。

さらに、現実にない音も自由自在です。

特にゲームは「元の音」がなく、すべてを作る必要があります。

たとえばキャラクターの動きに音をつける場合は、足音ひとつにも、右・左・前・後ろと、プレイヤーが動かせる範囲の音をすべて作り出し、プログラムに組み込むそうです。

もちろん、衣擦れの音や、装備品がカチャカチャいう音も、ゆっくり歩く、走る、振り返るなど、あらゆる動作の音を別パーツとして録音し、ミックスして完成させます。

敵が登場するときの音には、中に水を入れたゴム手袋を使ったそうですが、いったいどんな音が出るのか、それが本当に「リアル」なのかもわかりません。

私たちが映画を見たり、ゲームをするとき、音として聞こえるものは実際の音ではなく、ほとんどがフォーリーアーティストによって「作られた音」なのです。

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ラジオドラマCD『沈黙の艦隊』がおすすめ

フォーリーアーティストの世界に興味を持たれた人に私がお勧めしたいのは、『ヴァーチャル・サウンド・ムービーCD 沈黙の艦隊』です。

これはもともと、ラジオドラマとして制作されたドラマCD です。

1991年に、AMラジオがモノラルからステレオ放送に切り変わったことを記念して、ニッポン放送が単発で制作・放送したもので、1993年に『ヴァーチャル・サウンド・ムービーCD 沈黙の艦隊』として2枚組CDで販売されました。

ダミーヘッドを使用したことも当時は画期的でした。

もちろん、効果音はすべて手作りです。

特に現実にはない音、収録が不可能な音に果敢に挑戦しているのが最大の売りです。

冒頭すぐの、潜水艦「やまなみ」の沈没・圧壊のシーンの音は、横須賀の研究所で鋼板を使用し(実際には圧壊させることはできませんが)、海水の流れ込む音や、泡の立ち上る音などと合わせてものすごく「リアル」な音を作り上げています。

もちろん、実際に潜水艦が圧壊する音なんで誰も聞いたことはありません。が、それを「リアル」と感じさせる音響効果のすごさは、音響に興味ある人なら必聴の作品です。

潜水艦の物語なので、暗い部屋でヘッドホンをして聞いていると、気分はもうソナー員。潜水艦の発するソナーの電子音がじかに耳に届く体験は、得難いものです。

音を探知して航行する潜水艦というモチーフが、効果音・フォーリーサウンドの世界に思い切りひたらせてくれます。

まとめ

フォーリーアーティストさんの仕事は、私たち「聞いている側」には違和感を意識させない実物よりもリアルな音で、それ自体を意識して聞くことはほぼありませんが、意識に引っかからないことを目指す、黒子のような存在だと今回思いました。

日本ではまだまだ知名度の低い仕事ですが、制作者以外には存在を気づかせないのがフォーリーアーティストなのですね。

以上、フォーリーアーティスト・染谷和孝さんの紹介でした。ではでは~

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