中高年の引きこもり61万人8050問題の脱出方法は?ひきこもり新聞の情報発信や行政の取組み『報道特集』

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今回は、中高年の引きこもりについて、

内閣府調査の分析と、引きこもりの実態、

そして引きこもりを脱出するための

最初の1歩についてクローズアップ

したいと思います。

これまでの引きこもりの調査は、

15~39歳の人を対象にしていました。

しかし引きこもりの長期化にともない、

内閣府は2019年3月に、初めて

中高年の引きこもり」について

実態を調査し、結果を発表しました。

その数はおよそ61万3千人

若年層の54万人よりも多い数が

発表され、社会的に大きな衝撃と

なりました。

また、その4分の3が男性であること、

親と同居する未婚者が増加していること、

などが特徴であることが分かりました。

中高年の引きこもりとは、どういう

ものなのか。

何が問題を起こしているのか。

そして、引きこもりを脱出する

ことはできるのか。

こうした状況を見てみました。

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「中高年引きこもり」とは?

年代に関わらず、「引きこもり」の

定義は以下になっています。

・趣味の用事の時だけ外出
・近所のコンビニなどには出掛ける
・自室からは出るが家から出ない
・自室からほとんど出ない

・上記の状態が半年以上続いている。

そして今回、満40歳~満64歳を

対象にした調査で分かった

中高年の引きこもりの特徴と現状は、

若年層との違いを明らかにしました。

引きこもりの期間は7年以上

という人が過半数を占める。

若い時に引きこもった人が

年齢を重ねている長期化の

実態が見えます。

就職氷河期の影響

新卒時代が就職氷河期であった

世代であり、不本意な就職や、

正規の仕事につけなかったこと、

非正規で就職しても派遣切りや

リストラなどにあうなどして、

職を失った人が多いことが

挙げられます。

男性が4分の3

日本社会の特徴として、男性には

いまだに「仕事をバリバリこなして

一人前」、「結婚して家庭を支えて

一人前」といったジェンダー規範が

大きいことが、就職氷河期の

不利益を被った非正規就労者、

低所得者の多い世代に大きな

負担となり、結果的に就労の

ステージから退いてしまうことが

見受けられます。

また、再就職や、アルバイトなど

での社会復帰を目指しても、

年齢が壁となることも困難を

強いています。

親と同居する未婚者

引きこもりに限らず、今の日本

社会では未婚者が増加していますが、

引きこもりの期間が長期化し、

外との接触を持たない人が、

結婚できずそのまま実家

住まいを続けている状況が多いです。

調査では、4割以上の人が

「誰にも相談していない」と

回答していることも、当事者の

孤立が窺えます。

きっかけは「退職」「人間関係」「病気」

中高年の引きこもりのきっかけに

ついての回答は、

退職 36.2%
人間関係 21.3%
病気 21.3%
職場になじめない 19.1%

とされています。

「退職」と「職場になじめない」を

ともに就労の問題としてみると、

過半数を占めることが分かります。

また、「人間関係」も、職場での

ものが含まれているかもしれませんし、

「病気」も、超長時間労働や

過労などが原因であったり、

適応障害やうつ病など、職場での

心理的な重圧が引き金という人も

多いと思います。

共通しているのは、仕事における

挫折体験であるとみる専門家もいます。

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親が死んだらどうしよう――8050問題

中高年の引きこもりの最大の

問題点は、

「50代の引きこもり当事者を、

80代の親が支えている」、

いわゆる

8050(はちまるごーまる)問題」です。

引きこもりの期間の長い当事者には、

収入も貯蓄もなく、80代の親の

年金に頼っている人も多いことが

問題視されています。

この状態であと数年たてば、

親も体力的に衰え、あるいは

要介護状態になって、子の

面倒を見切れなくなる。

最悪、親が死んで年金がなく

なったら引きこもりの当事者は

誰を頼ったらいいのか――。

本人の就労期間が短かったり

する場合、多くは低年金もしくは

無年金の可能性もあります。

このままでは、就労能力のない

当事者の多数が、生活保護

受給者になり、それが社会保障

制度を揺らがす大問題になる

かもしれない、と見る識者もいます。

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引きこもりを脱出するには

中高年の引きこもりは、当事者も

家族も、将来に大きな不安を

抱いています。

しかし、長期化した引きこもり生活は、

強いストレスを生み、精神疾患など

の二次的な問題も生みかねません。

そして、いざ就労しようとしても、

社会から長く孤立してきた本人には

ハードルがより高くなるのも、

若年層の就労支援より難しい点で

あるといいます。

ここで、上述の「4割以上の人が

だれにも相談していない」という

事実を振り返ってみます。

逆に言えば、誰かに相談できれば、

脱出の、あるいは改善の可能性は

高まるということです。

しかし、親に頼らず、自ら就労して

生計を立てるということをゴールと

考えると、長期に引きこもりをして

きた人にとってはそれが果てしなく

遠く感じられてしまい、なんとか

したいという気持ちをなえさせて

しまいます。

まず、この遠すぎるゴールを

いったんどかすことが大切です。

面倒を見て、心配している親御さんに

とっては、就労こそが最大の安心

でしょうが、まずそこはぐっと

がまんして、見ないことにする。

実は、「就労」以前にも、少しの

きっかけでできることはいっぱい

あるのです。

そのちいさなきっかけをつかみ、

それができたという達成感を得ること、

一度は挫折した人が成功体験を

つかむことが大事なのです。

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1.親が病院へ行く

なぜ当事者でなく親かといえば、

当事者にいきなり通院というのは

これもハードルが高いから。

そして、親が元気で動けるうちに、

親子ともに孤立している状態を、

まず親が打開するためです。

引きこもりに限らず、親はどうしても

子に期待をかけてしまいます。

しかし、社会で挫折して引きこもって

いる子にとって、親の期待や

叱咤激励はみな逆効果なのです。

まずは親が変わることから始め、

それから子にも変わってもらうのです。

病院は、親子ともに何年も通う

可能性を考えて、なるべく近所の

通いやすいところをあたって

みましょう。

いくらいい病院でも通うのが

大変だと、途中で治療を挫折する

かもしれないからです。

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2.情報を探す

たとえば、「ひきこもり新聞

http://www.hikikomori-news.com/

というものがあります。

引きこもりの当事者による、

当事者のための新聞で、いろいろな

情報が手に入ります。

(出典 : http://3939.tokyo/adult)

↑は、あけぼのばし自立支援センターの

サイトですが、ここでは、24時間

年中無休で電話 0120-35-3939で

相談を受けていますし、

サイトのメールフォーム

http://3939.tokyo/contact

からの相談も可能です。

センターでは、「引きこもって

しまった子に対して、家族がして

あげられることはない」と

あえて言っています。

引きこもった子の大半が、「原因は

親のせいだ」と思っているため、

親の言うことやすることには

拒否反応を示すからだそうです。

また、親の多くは「引きこもり脱出」を

「就労」と考えがちであることも

指摘して、考えを変えることを

提唱しています。

もちろん、原因の100%が親のせい

なのでは、ありません。

しかし、親子そろってカウンセリングを

受けることや、このセンターで

同じ引きこもりの仲間を作ることは

できます。

レクリエーションや、農業体験、

就労体験といった、ちょっとした

ことから「できる」ことを見つけて

いくこともできるのです。

(出典 : http://osdyorisoi.jp/)

↑のサイトは一般社団法人・

OSDよりそいネットワークの

ものですが、OSDとは、

O親がS死んだらDどうしよう

の略という、なかなか本音を突いた

団体です。

ここでは、親が死ぬ前に、

引きこもりの子の生活に道筋を

立てることを目指しています。

相談を受けてから、ファイナンシャル

プランナーや行政の福祉担当などの

各専門家につなぐことで、孤立を

防ぐと同時に、解決への支援をしています。

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3.行政に聞いてみる

ためしに地元の役所に行って

みるのもアリです。

■就労支援のサービスを

問い合わせてみる

就労のみでなく、デイケアや

当事者グループの情報も

受け取れます。

■障害年金を受給してみる

最初からバリバリ稼ぐことを

目標にせず、障害年金のサポートを

受けて少しずつ収入を得ていくのも

選択肢に入れましょう。

障害年金は若くても受給可能ですし、

障碍者手帳がなくても受けられます。

病院で医師に相談すれば必要な情報を

もらえます。

■生活保護を受けてみる

充分な収入がない、あるいは

まったく収入がない場合は、

生活保護が最強のセーフティー

ネットになります。

親と同居していると「親族からの

援助が見込まれる」ことになるので、

思い切って単身生活をすることも、

家を出るきっかけとして利用できます。

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まとめ

かく言う私自身も一時期完璧に

引きこもりだったので、いろいろ

経験してきたことを含めて

書いてみました。

特に伝えたいのは、病院へ行くことの

大事さです。

引きこもりというのはそうとうに

精神を病むので、この問題を

やっつけるのが最大のミッションだ

と思うからです。

そして病院に行けば、自立支援制度など、

行政の情報にもつなげてもらえる点も

大きいです。

私は自転車ですぐのところにある

クリニックに行きましたが、

いつ行ってもみごとに激混みで、

世の中にはこんなに精神科に

かかる人がいるんだと、ある意味

ほっとしたりもしました。

そして私の引きこもりを診た

ドクターの、「薬は1週間分しか

出しません。1週間に1回は外に

出なさい」というスパルタ療法?で

回復の道を歩いたものです。

とりあえず病院に行く、という目標は、

当事者にはなかなか良いので、

おすすめです。病院に行って、

ついでに市役所に行って、と

足をのばすための第1歩になります。

おそらくは61万人という数字を

上回る当事者とその予備軍がいると

思われますが、家から出られなくても、

ネットで、電話でサポートを受ける、

それだけを目標にしてもいいと思います。

長期間引きこもった中高年引きこもりは、

できるかぎりゆっくりと、すこしずつ

歩き出せれば御の字です。

家族や、第三者の方にはもどかしい

かもしれませんが、いきなり

バリバリのサラリーマンにはなれません。

そういう重い期待や、ムリめな

目標はやめておいて下さいと、

61万人の当事者とその家族に

伝えたいです。

以上、中高年の引きこもり問題

ついてでした。

ではでは~

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