(出典 : ]http://www.ohishi-clinic.or.jp/)
今回は、性犯罪の加害者に対する、
再発防止のための医療について
クローズアップしたいと思います。
痴漢、盗撮、のぞき、強制性交など、
性犯罪と呼ばれるものにはさまざま
ありますが、それを「性嗜好障害」と
位置づけ、治療の対象とすることが
始められています。
犯行にいたるきっかけや、実際に
犯行に及ぶパターン、その思考回路や
認知の歪みについて精神医学が
治療を行なうというのは、
どのようなものなのか、
調べてみました。
性嗜好障害とは?
一般的に、犯行に及べば逮捕される
ものや、逮捕はされないけれども
日常生活や金銭面に悪影響の
出ている性的行動をまとめて
「性嗜好障害」と呼びます。
強制わいせつ、強制性交などの他、
痴漢や盗撮、のぞきのような、
繰り返し行われる犯罪行動、
風俗の利用やマスターベーションが
やめられない、子どもに性的な
興味を抱くなど、
性的行動のコントロールが効かなく
なっている状態を
「性嗜好障害」と捉えています。
この障害を持つ人に共通するのは、
相手に対する「認知の歪み」だと
いいます。
言い換えれば、被害者の気持ちを
自分の都合のよいように曲解する。
被害者への正しい感情移入ができない。
被害者の被る大きなダメージに
対して無関心、あるいは自分勝手な
「答え」で思考停止する、ということです。
この認知の歪みを治さない限り、
犯罪を繰り返すのが性嗜好障害
であり、また、犯罪の中でも
特に表に出てくることが少ない
問題なのです。
治療の方法は?
性嗜好障害を治療するのは
精神科になりますが、
特に依存症を扱う医院が
適しています。
まず、第一に理解しておきたいのは、
精神科に通っていることが
保険証から会社や家族にバレる、
という心配はいらないということです。
守秘義務の下、たとえ会社から
問い合わせが来ても本人の承諾なしに
回答することはありませんし、
警察に対しても情報は出しません。
その上で治療が行われます。
■横浜 大石クリニックの場合
(出典 : http://www.ohishi-clinic.or.jp/gairai.html)
初回の面接と診察には時間を
かけるため、まずは電話での
予約が必要です。
電話番号 045-262-0014
また、女性医師の診察を
希望することもできます。
治療コースは主に、
一般外来コース
週1~2回の通院で診察・
投薬しつつ、
治療プログラムに参加します。
ビジネスマンコース
毎週木曜の18時半に行う
夜間診療です。
仕事帰りに立ち寄り、
診察・投薬や治療を
受けることができます。
デイケアコース
月曜~土曜まで
朝9時~午後3時まで、
生活リズムを取り戻す
ために通院しながら、
診察・投薬と治療を受けます。
家族向けコース
患者の家族を対象にした
相談や家族教室などの
コースです。
などがあります。
■東京 NPO法人・性障害専門医療センターSOMECの場合
性加害者に対し、認知療法を
用いたカウンセリングと、
薬物治療を行なっています。
電話番号
東京 03-5326-3370
大阪 06-7668-8321
福岡 092-287-9599
認知行動療法とは
患者の思考の傾向や、実際に
行動に出る場面などについて
問題を見つけ、その間違いに
対処する方法や、解決する
ための方法を身に着けていく
カウンセリングです。
また、自身の認知のゆがみを
具体的に明らかにしていきます。
たとえば、
・痴漢をされると女性はよろこぶ
・盗撮は誰も傷つけていないので
犯罪ではない
・強姦などに比べれば自分の
していることは大したこと
ではない
・嫌なら逃げられるはず
といった、自分の性嗜好に
都合のよい考え方・認知の
しかたを見直すのです。
そうした自己主観から視野を広げ、
自分の周囲にいる人の気持ちを
想像したり、被害者の気持ちを
「もし自分が被害にあったら
どう思うか」というように
被害者の立場に立って考える
練習をします。
加えて、自分が問題行動に出る時に、
どんなクセがあるかも分析します。
「会社で叱責されてイライラした時」
「自分が否定されたと感じた時」など、
行動に対する「引き金」があることを
認知し、自己分析をします。
薬物療法とは
・抗アンドロゲン剤
男性ホルモンを減少させ、
性的な興奮や、欲求不満などを
抑えます。
抗アンドロゲン剤を使用しなかった
グループでは3分の2が再犯をする一方、
使用したグループでは再犯がなかった
という研究結果が出ています。
・SSRI
抗うつ薬ですが、性的空想や
自慰行為、衝動性などの
行動が抑制されます。
イライラや抑うつなど、
行動の引き金になる感情を
改善することで再犯を減らす
効果もあります。
料金は?
大石クリニックでは、
保険適用、自立支援医療制度の
利用が可能です。
初診は検査なしの場合で
2,500円程度、
検査ありの場合は5,000円
前後です。
再診は1,500円程度ですが、
投薬治療の場合は薬代が
別途必要となります。
性障害専門医療センターSOMECでは、
全額自費治療となります。
初回面談は無料ですが、
心理検査は21,600円。
診察は16,200円。
認知行動療法は27,000円/月、
性ホルモン治療は5,000円/月
となります。
保険の適用範囲になるかどうかで
代金は大きく変わってきますので、
事前の確認が必要でしょう。
まとめ
性犯罪という問題でいちばん重要
なのは、タイトルにも書いたとおり、
「やめたい」と本人が思うことだ
と考えます。
それがない限り、どんな治療を
しても、根本的な解決、つまり認知の
変化は起きないし、自分に都合よく
否定して、また再犯するでしょう。
治療を受け入れるためには、
本人が自分の行動を性嗜好症で
あると自覚すること、治療すべき
問題であることを認識することが
不可欠だと思います。
しかし、精神科においては、自分が
病気であり、治療が必要であると思う
ことが最も難しいと言えるでしょう。
ほとんどの人は抵抗し、自分は
病気ではないと思うからです。
海外では、性犯罪者に対して刑罰を
科すと同時に治療プログラムを受ける
ことを義務付けることがありますが、
逮捕など、外的な圧力があって
初めて自分の行動が犯罪であると
認識するような場合を考えると、
治療の義務付けも検討すべきだと思います。
被害者を失くすためには加害者を
失くさなければならない。
起きてしまった犯罪だけを取り上げる
のではなく、犯罪を起こさないよう、
未然に防ぐための治療が普及する
ことを願う次第です。
以上、性犯罪の治療に
関してでした。
ではでは~
化学的去勢を実施している国
その効果は?
性犯罪の刑が軽い?
去勢できない理由