(出典 : https://serai.jp/hobby/300019)
今回は、鳩時計専門店『森の時計』代表の芹澤庸介さんをクローズアップしたいと思います。
時間が来ると、扉が開いてかわいいハトが飛び出す鳩時計。。。ですが、実はアレ、ハトじゃないってこと、ご存じでしたか?
発祥の国・ドイツでどのように生まれ、200年の時を経てどう変わってきたのか。
芹澤さんのお店で扱っている鳩時計の、気になるお値段も見てみました。
プロフィール
芹澤庸介さんは1979年生まれ。
鳩時計専門店『森の時計』代表であり、鳩時計マイスター、そしてドイツ鳩時計協会に加入した、初めての日本人でもあります。
2000年、二十歳の時にヨーロッパを旅行した時に出会った鳩時計に惚れこみ、大学卒業後にドイツの工房を訪問、本格的に鳩時計の勉強をしました。
2004年、東京に鳩時計専門店『森の時計』を設立。
同時に独学で時計技術を覚え、鳩時計の修理も手掛けはじめました。
年に一度はドイツに赴き、工房を訪ねて鳩時計づくりを学び続けているそうです。
鳩時計の歴史 ドイツと日本
鳩時計はおよそ200年の歴史があるといいます。
その200年前、ドイツのシュバルツヴァルトの村に住む時計技師、フランツ・A・ケトラー氏が発想・制作したのが始まりでした。
ケトラー氏は、扉が開いて鳥が出てくる仕掛けと、ふいごを使って鳴き声を出す装置を作りました。
やがてシュバルツヴァルトの時計作りは彼の鳩時計をもとに発展し、1800年頃には600人以上の職人が制作する地場産業となったそうです。
彼らは冬の間に時計を作り、夏にはそれを持ってヨーロッパ中へ売りに行きました。
そうして鳩時計は、ヨーロッパの人々に愛される工芸品となったのです。
さらに1800年代後半には、鳩時計のデザイン大会が開かれるようになり、バリエーションは一気に増えます。
それまでは、板にハンドペイントで花などを描いていたシンプルなデザインでしたが、それらはシールドクロックと呼ばれ、新たに彫刻などを施した華やかで大きな彫刻モデルと呼ばれるものが多く作られるようになったそうです。
日本に鳩時計が来たのは、1900年代。輸入され、珍しい舶来品として売り出されたようです。
国内で最初に鳩時計を制作・販売したのは手塚時計という会社だと言われています。
実はドイツ語では、鳩時計のことは「クックス・ウアー」=カッコー時計と言います。
しかし、日本でカッコーというと、別名は「閑古鳥」。お客さんがこない状態を言うことから、カッコーを嫌い、鳩時計と呼んだそうです。
鳩時計の鳥が「鳩」なのは日本だけだったのですね。びっくりです。
鳩時計の種類
鳩時計には、山小屋の形や、つる草などを模した装飾、豪華な彫刻などが施されているものがさまざまにあります。
しかし、何よりも重要なのは、「扉が開いて鳥が現れる」仕掛けに尽きます。
逆に言えば、「扉がなければ鳩時計ではない」というくらい、扉は大事なのです。
時間になると、扉が開き、鳥が顔を出すのが、鳩時計の重要にしてユニークなところなんですね。
その鳩時計には、現在、2つの種類があります。
一つは、現在の時計の主流であるクオーツ式です。
電池交換式で、秒針や振り子の音がしません。
また、比較的安価に買い求めることができる種類でもあります。
『森の時計』では、クォーツ式の全商品が光センサーを内蔵しており、夜など周囲が暗くなると音が出なくなる仕組みになっています。
クォーツ式鳩時計 エーデルワイスクロック 35,910円
クォーツ式鳩時計 チロルの山小屋 20,520円
もう一つは昔ながらの機械式(重り式)。
鎖で提げられた重りが重力で下がるのを利用して動く仕組みです。
もちろん、重りが下がってきたら、人の手でまた巻き上げます。
この巻き上げのタイミングから、さらに「1日巻き」と「8日巻き」に分かれ、それぞれ異なる重さの重りをつけています。
一日巻き鳩時計 オルゴール付 105,268円
八日巻鳩時計 ワイナリーの山小屋 277,020円
こちらは職人の技能が込められた高級品です。
とは言え、『森の時計』で修理をしてもらえば何十年も使えるものですし、自分の手で重りを巻き上げるという、手間をかける楽しみもあります。お値段分の価値はあるでしょう。
『森の時計』では、1万円台の小さなものから高いものでは30万円以上するものもあるそうですが、主流は3~6万円だそうです。
芹澤さんのお店に行きたい
現在、『森の時計』は、東京と大阪に店舗を持ち、他にも提携取り扱い店が京都や金沢、名古屋などにあります。
森の時計 東京本社ギャラリー
100点以上の展示を誇る店舗兼ギャラリーです。
デコレーションパーツや、部品なども扱っています。
03-3249-8772
月~金 10:00~17:30
(土日祝日は不定休)
総武快速線 馬喰町駅
都営新宿線 馬喰横山駅
都営浅草線 東日本橋駅
それぞれから徒歩1~2分
森の時計OSAKA ウィークエンドギャラリー
大阪の店舗ですが、週末のみの営業です。
電話での問い合わせは東京本社にかけてくださいとのことです。
金土日 12時~17時 (定休日:月~木)
お店に行けない場合でも、森の時計公式サイトの通販が利用できます。
まとめ
「時計は宇宙である」という名言をはいたのが誰だか忘れましたが、時計のムーブメントやからくりには、子ども心をくすぐられる魅力がありますね。
鳩時計も、鳩が出るだけでなく、人形が動いたり、汽車が走ったりと、ギミックが豊富になっています。
個人的には、現在のクォーツ式時計にはない、あのカチコチという静かな機械音が、とてもノスタルジックに思えて、機械式の時計がほしいと思ってしまいました。
ドイツの時計・工芸マイスターたちが創り上げる「時」は、きっとデジタルよりゆったりしているでしょう。
以上、芹澤庸介さんと『森の時計』の紹介でした。ではでは~