(出典 : https://twitter.com/takedakunihiko_?lang=cs)
今回は、中部大学教授の
武田邦彦(たけだ くにひこ)さんの
トンデモ論評と著書のウソに
ついてクローズアップしたいと
思います。
学者の言うことはいつも正しいの
でしょうか。
過去を見れば、その時代ごとの
「常識」は、現代では正反対と
いうこともたくさんあります。
武田氏は講演会や著書、ブログや
メールマガジンなど、
多数のメディアで「学説」を
提唱していますが、
中には現代の常識や状況と
まったく異なることも多く、
この人の「学説」はうかつに
信用できないなと正直思いました。
「2015年には、日本は人の
住めない国になる」
武田氏が2011年に発表した
著書の言です。
現在2019年ですが・・・と、
思わず首をひねりつつ、
どういうことなのか調べてみました。
プロフィール
武田邦彦氏は1943年生まれ。
1966年に旭化成工業に入社。
ウラン濃縮の研究に携わりました。
1986年には、東京大学から
工学博士の学位を取得。
ウラン濃縮研究所長に
就任します。
その後、芝浦工業大学、
名古屋大学を経て、
現在は中部大学総合工学研究所の
特任教授です。
専攻は資源材料工学だそうです。
2007年頃から、主に
環境問題に関して
テレビ、ラジオなどの
マスメディア出演が増え、
著書やブログなどで主張を
発表しています。
環境問題以外にも、
原発に絡んでのエネルギー問題、
果ては年金問題や、男女雑感、
「日本人は世界で尊敬されている」
といった、もはや学説でも
何でもない大衆迎合的な
「自論」までさまざまに
語っています。
また、メールマガジンの
タイトルは
「テレビが伝えない真実」。
ご自身もテレビに
出演してますが、
テレビは信用ならないと
一刀両断です。
なら、なぜご自身はテレビに
出るのか。マスメディアの
影響力を意識しての露出では
ないかと思ってしまいます。
今回は、特に気になった
環境問題と、リサイクル関連の
著書や論説を中心に
見てみました。
ダイオキシン危険はウソ?
武田邦彦氏は、持論において、
「食品添加物・農薬、環境ホルモン、
ダイオキシン、水銀、鉛。
全部毒物ではない」
と断言しています。
いきなりびっくりするような
結論です。
大昔、秦の始皇帝は
不老長寿の秘薬として
水銀を飲んでいました。
それによって水銀中毒になり、
不老長寿どころか、
死期を早めたのが
紀元前の話です。
しかもあれもこれも
十把一絡げに同一の結論に
結びつけてしまうのは
一つ一つ見なくても
充分に怪しいです。
もちろん、これらの物質は、
すべてが無害安全とは立証
されていません。
リサイクルはムダ?
さらに武田邦彦氏は、
リサイクルは無駄であると
これまた断言されています。
ヨーロッパは気候が寒く
乾燥しているから
ゴミの2割は燃やして
8割は埋める文化だと言います。
逆に日本は国土が狭く、
高温多湿の風土だから、
ゴミの8割を燃やしていた
「焼く文化」なのだ。
だから、リサイクルではなく、
焼けばいい、というのです。
また、リサイクルにも
エネルギーが必要であり、
再生に資源や労力を使うので、
いくらリサイクルといっても
元には戻らない、といいます。
むしろ、リサイクルをすればするほど
エントロピーを増大させるので
リサイクルをする限り、
人間は資源を使ってしまうと
言います。
また、リサイクルしてできたものは
あくまでも劣化品であり、
新品に劣るものだから、
だれも買わない。
リサイクルは非学問的であり、
非道徳的ですらある。
というのが武田邦彦氏の
「論」なのです。
そして、
ごみの処理は焼却がいちばんである。
それがいちばん衛生的にも
かかわらず、
現代はリサイクルという
名のもとに汚いものが日常に
入り込むシステムにしようと
しているからけしからん、
と言います。
リサイクルは毒性物質を抜く
ことはできない。焼却なら、
毒は焼却炉の底に自然とたまる。
8%以上のリサイクルをすると
人間に毒が回ってくる、と
どこからどう出てきたのか
まったく分からない
ある意味独自の具体的な
数字を挙げて断言しています。
論拠はありません。
しかも、最近ダイオキシンの
話題が出ないのは、
ダイオキシンが毒ではないと
立証されたからだ、
とも言っています。
いやいや、ダイオキシンの話題、
出てるでしょ、と突っ込みたく
なりますね。
「そして、ダイオキシンが
悪くないとなると
次は「焼くとCO2が出て
温暖化する」と
次々と違う理由が出てくる。
これは論が間違っているからだ」
と、またしても自分以外の人間を
全面否定です。
環境問題に唯一絶対の回答など
出るわけがないのですから、
次々と問題が出てくる現状で
理由や原因は複数あるのは当然です。
とどめに、
「ごみは焼却するのが
いちばんだが、あらゆる屁理屈で
他人を攻撃せずにはいられない、
へんてこな社会ができている」
と、問題をすり替えて
ご自身がさらに攻撃しています。
環境問題がナゼ他人を攻撃していると
思うのでしょうか。
博士号まで撮った学者さんなのに
議論でなく、人格否定とは
なかなかに低次元な話です。
著書のタイトルがいろいろスゴイ
武田邦彦氏の著書を調べたの
ですが、タイトルがスゴイことに
なっていました。
『今、心配されている環境問題は、
実は心配いらないという本当の話』
『偽善エコロジー』
『偽善エネルギー』
『「大麻ヒステリー
思考停止になる日本人」』
『もうだまされない!
「身近な科学」50のウソ 原発、
エネルギー、環境、健康知識のホント』
『生物多様性のウソ』
『地球温暖化でウソをつく
メディアと政府のトリック、
警察発表のトリックと、
それをたれ流す新聞、テレビ』
非常に攻撃的ですね。
ウソとか偽善とか
ヒステリー(死語)とか、
まるで吊し上げのようです。
世の中の連中、みんな騙されてる
自分はウソに騙されていない
ジブン頭イイ
という空気がにじんでいるように
見えます。
「日本は2015年には人が住めなくなる」
↑『2015年放射能クライシス』
こちら、2011年に発行された著書ですが、
の内容紹介を見ると、
「かつては原発推進者で、
日本原子力学会平和利用特賞まで
受賞した科学者である著者が
2015年が日本の節目であると分析する」
とあります。理由は
「チェルノブイリ事故による
小児がん患者が4年後に
急増した」から。
そして、
「日本は2015年には人が住めなくなる」
と呼びかけていたといいます。
。。。
えー、今2019年ですがどう
なんでしょう。
来年オリンピックなんですが。。。
と思ってしまいました。
アマゾンのレビューは評価
真っ二つです。
「2015年は過ぎたけど?」
「そのときそのときで主張や科学理論が変遷するのは風見鶏学者だからか?」
「煽って終り」
「今となっては「トンデモ本」である」
このように批判される一方、
高い評価をつけたレビューは
「私の心に引っかかっていたものは消えました」
「武田邦彦さんはバランスの取れた方だと思います」
「必然の書! 武田先生の知性と勇気に感謝」
と、なんだか怪しいセミナーの参加者のような
コメントが目立ちました。
アマゾンレビューは一般人の
コメントに過ぎないと
切り捨てたとしても、
武田邦彦氏には、学界からも
批判が飛んでいます。
ウィキペディアによれば、
「ペットボトルの再生量を
提示したグラフが
PETボトルリサイクル推進協議会の
ものであるとしているが、
同会は一切関係ない。ねつ造であると
正式に抗議した」
とあります。
これに対し、武田氏は
「統計データがないので
自分で推定した」
と反論。
「引用がPETボトルリサイクル
協議会になっていたのは
誤りであるとして訂正する」
と返しています。
自分で作ったデータを
しかる筋の引用であると
権威付けするのは、学者どころか、
学士論文でもやってはいけない
ことです。
同じく、古紙問題市民行動
ネットワークも
「引用とされたデータは
当団体のものではない」と
こちらも抗議。
またしても引用トラブルです。
ダイオキシン無害説にも
専門家が反論。
現在、ダイオキシンは研究
途上にある以上、
安全であると断言はできない、
議論がデータではなく憶測に
基づいている
と、痛烈に批判しています。
どうも武田氏は、憶測を
断定しがちなのと
データ関連のトラブルが
たくさんあるようなので、
著書をうっかり信用するのは
危険ですね。
まとめ
なんのかんのといっても、
いちばん分かりやすいのは
『2015年放射能クライシス』の
日本滅亡説でしょう。
著書の発行された2011年は、
もちろんあの東日本大震災と
福島原発事故のあった年なので、
日本中が不安になっていた時です。
そこに、学者と名乗る武田氏が
憶測で「滅亡」などといって
いやしくも学者を名乗る者が
憶測で不安をあおったのは
罪深いと思いました。
2019年の現在、武田氏はこの著書を
どう思っているのでしょうか。
黒歴史として早く忘れてほしい?
というのはインターネット社会では
不可能に近い話です。
そんな武田氏を、テレビがいまだに
出演させているのは、
ただ単に、極論・暴論のたぐいが
テレビ的に「おいしい」からでは
ないでしょうか。
くしくも武田氏本人が
「テレビは信用できない」
と言ったとおりになっている。
そんな風に感じました。
以上、武田邦彦氏の
トンデモ紹介でした。
ではでは~