今回は戦場カメラマンの
渡部陽一(わたなべ・よういち)さんを
クローズアップしたいと思います。
渡部陽一さんといえば、あの独特の
ゆっくりトークが印象的ですが、
彼はなぜゆっくり話すのでしょう?
そして一時期に比べ、バラエティ
番組への出演が減ったように
見えるのはなぜ?
多忙な日々を送る渡部陽一さんの
近況を見てみました。
プロフィール
渡部陽一さんは1972年生まれ。
明治学院大学に入学したころ、
文明と隔絶したピグミー族に
会ってみたいと思い、アフリカへ
旅行に行きます。
その時はカメラマンになると
いう意思はなく、単純に、
きままに渡航したのでした。
しかし、1993年当時のアフリカは、
ツチ族とフン族の衝突が激しく、
100万人以上の民間人が虐殺される
内戦状態でした。渡部陽一さんは
何も知らずにその最前線に行って
しまいます。
移動中に少年兵の襲撃にあい、
暴力を振るわれた上にすべてを
略奪されるという死線をくぐる
経験をした渡部陽一さん。
しかしそんな恐怖の経験は
その土地にあっては「日常」
だったのです。
帰国したのち、そのことを
伝えたいと思ったものの、
日本とあまりにかけ離れた
世界のできごとは、日本人には
ピンとこない、遠い世界のことに
すぎませんでした。
ならば、写真で伝えることは
できないか。
そう思った渡部陽一さんは
戦場カメラマンという仕事を
選んだのでした。
渡部陽一さんは、世界各地の
紛争地や内戦地帯、災害に
見舞われた場所などを駆けめぐり、
その現場を写真に撮り続けています。
↑ソマリアで渡部さんが撮影した写真です。
戦場は当然危険です。
渡部陽一さんは「生きて帰ること」
という、シンプルにして重要なことを
信条にしているそうです。
そして被写体の人々が危険に
さらされれば、撮影をやめて
助けるとか。
緊迫した写真より、自分を含めた
人の命をいちばんに考えているのです。
あまりご自身のプライベートは
話されませんが、既婚者だそうです。
戦場カメラマンの妻というのは
とても大変なことだと思うのですが、
ご家族のためにも生きて帰る人で
あってほしいと思います。
また、昔はフィルムカメラをだった
そうですが、現在はデジタルカメラを
使用しているそうです。
電源の問題はあるでしょうけれども、
その分たくさんの写真が撮れる利点を
採っているのでしょう。
どうしてゆっくり話すの?
世界各地をめぐれば、英語も
通じない世界はたくさんあります。
しかし全く通じない言葉でも、
ゆっくり落ち着いて話すと意外と
通じることに渡部陽一さんは
気づいたと言います。
あのゆっくりトークは、自分が
危険な人間でないということを
伝えるための重要な話し方だった
のです。
確かにゆっくり、落ち着いて話す
渡部陽一さんには敵意を感じません。
そしてその話し方がテレビという
媒体に登場した渡部陽一さんを
一躍有名人にしたのも事実。
2010年頃から渡部陽一さんは
積極的にテレビの仕事を引き受け
ました。
それは、一人でも多くの人に
戦場カメラマンという仕事を
知ってもらうため、そして
写真をとおして世界を知って
もらうためでした。
バラエティなどに出演するときでも
渡部さんは自分の写真を1枚でも
見せることで、世界を伝えようと
していたと言います。
↑ソマリアの少年兵。
最近バラエティに出ないけどなぜ?
そんな渡部陽一さんですが、
最近テレビにあまり出演されて
いません。
何本かレギュラー出演している
番組はありますが、一時期のような
出ずっぱりではなくなっています。
その理由は渡部陽一さんの
公式サイトにありました。
ほぼ毎月、どこかの国へ撮影に
出かけているのです。
そして帰国すると、各地で講演会を
行なっています。
つまり、戦場カメラマンとしての
仕事が忙しくて、バラエティに
出るヒマがない、ということ
なんですね。
知名度が上がってギャラも多く
なれば、それをカメラマンとしての
仕事の活動資金に充てる、講演会で
多くの人に海外の様子を伝える。
そのことに渡部陽一さんは
大忙しなのでした。
しかし、この春からはNHKの
語学講座『テレビでアラビア語』に
レギュラー出演されています。
通訳を介さずに、アラビア語で
取材ができることを目標にされている
そうです。あくまでも本業メイン
なんですね。
↑イラク
↑アフガン
↑インド
↑インド
知ってほしいから
渡部陽一さんの活動は危険な
地帯での撮影だけでなく、
それを人々に伝えて初めて
成り立つものです。
数々の講演を行うのも、そのため。
そして、書籍という媒体でも
発信をされています。
↑子ども向けの本も出版されています。
バラエティに出演して知ってもらう、
写真を通して知ってもらう、
講演などで知ってもらう。。。
渡部陽一さんの活動は、すべて
世界の出来事を知ってもらうため
という、1本の柱に貫かれています。
これからも、世界への目として、
私たちに真実を伝えてほしいですね。
以上、渡部陽一さんの紹介でした。
ではでは~